遊技租界 『佐渡屋太郎のパチンコ商売道日記』

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「ぱちんこ情熱リーグ」1次予選分析(前章)【佐渡屋太郎-vol.193】

写真キャプション=第1次予選で3位に入った「玉太郎出来島店」(大阪市西淀川店)


いまは12月13日(月)の18時35分。やっとパチンコ雑誌1月号の原稿が終わり、今年もいよいよ“ゴール”が見え出してきた。来週は、今年の最後となる取材が集中してある。そのなかにマルハンの「ECOモデル店舗」の内覧会取材もあり、今から楽しみで興味津々である。このブログでも、いま注目の“ECO店舗”の実態を写真を交えて報告したいと思っている。

さて、今回のパチンコ雑誌では「ぱちんこ情熱リーグ」についての8ページが、私が担当する原稿のメインになった。同リーグでは第1次予選が11月末で終了し、2次予選進出の30ホールが発表された。今回はその件を中心にお伝えしたいと思う。実は、パチンコ雑誌での記事制作において、制作時間の7割以上を表の修正・作成と得点計算に費やした。決して嫌いな作業ではないが、参加ホールが多いため、膨大な時間がかかってしまった。

しかしその作業を通して、色んなことが分かってきた。まず第1に報告しなければならないのが、参加ホール数の修正である。「第2回ぱちんこ情熱リーグ」の応募締め切りは7月末日で、8月に原稿を書いた時点で参加ホールは291店であった。その後、9月29日のエコセミナーでリーグ関係者に会ったら、301店で最終決定したという。その一覧表も送ってもらった。今回、原稿を書くに当たって、私の作った表ともらった表の照合作業を行なった。

なぜ、照合作業が必要かというと、もらった表は申し込み順にホールが並んでいるようだが、幾度にもわたる修正で法則性が見出せない。それに対し、私が作った表はそれを都道府県別に分類し、さらに経営企業別にホール順を入れ替えてある。その結果、各地のホール企業が経営するホールの何店舗を、リーグに参加させているかが明確に分かるようになっている。これは佐渡屋太郎の密かな“自信作”であった。

しかし今回は、その裏を見事にかかれてしまった。291店と301店の変動を知るために、1つひとつマーカーで塗りつぶしていくという作業が必要になった。これが第1回目の照合作業である。そこで分かったのは、長野県の㈱アメニティーズや京都府の㈱第一物産などの新たな参加があって、目標の300店を超えたこと。さらにその間、執行部は目標達成のために、涙ぐましい努力を続けたことだった。

写真キャプション=第1次予選で5位に入った「DAIICHI J&Z 東梅田店」(大阪市北区)


その作業が終わった頃に、第1次予選の様子を聞くため取材に行った。そこで、参加全店の得点表をもらった。しかし、何とその表の店舗数は299店になっているではないか。聞くと、その後に2ホールの参加辞退があったという。そのホール名を聞くと、今は分からないので後で連絡するという。その連絡はいまだにない。締め切りが刻々と迫っているので、また1つひとつ301店のホールをマーカーで塗りつぶしていった。これが第2回目の照合作業である。その結果、マーカーで塗られない2つホールが最後に浮かび上がってきた。これには大きな感動を覚えた。1つは福島県会津若松市のホールであり、あと1つは茨城県高萩市のホールであった。

こんな作業を年末進行の締め切りが迫っている中で、平然と行なうことは神経の細い人間ではできない。肝(きも)が据わっているか、神経が切れているかのどちらかであろう。しかし、私自身の気持ちから言うと、そのときムラムラと湧き上がってきた“執念”であったと思う。折角、作った一覧表を、完全なものとして仕上げたいという一念が、私にマーカーを握らせたのではないだろうか。今日は締め切りが終わった開放感と飲み始めた酒によって、筆が勝手にドンドンと走っていっている。まず、自制心があるうちに、苦心の末に完成させた参加ホール一欄表を掲載しておく。

【図表1】

詳しく閲覧頂くなら、上記図表1をクリック。

しかし、照合作業を困難にさせるくらい、多くの参加ホールを集めてきた執行部の頑張りには敬服する。そして、その結果が形になった参加ホール一覧表に感動を覚えるのだ。私がパチンコ業界に入って、今年で14年になる。その間、北は札幌から南は鹿児島まで、数多くのホールを取材してきた。それらのホールがこの一覧表に散りばめられている。また、それらホールを経営する企業の経営者や経営幹部の顔も浮かんでくる。ある人には取材の場で会い、ある人とは酒を飲みながら話し合ったこともある。この一覧表を見ると、それらの場面が走馬灯のように思い出されてくるのだ。

だから、この表は何としても完成させたかった。いま佐渡屋太郎はこの一覧表を見ながら、しみじみとうまい酒を飲んでいる。このために、この一覧表を作り上げたと言ってもいいくらいだ。この一覧表に浸れる背景には、「ぱちんこ情熱リーグ」という木山修助氏を中心とした大阪の若手経営者のある意味では“無鉄砲”な試みに、全国各地にいる私も知っているホール経営者たちが賛同したことの喜びがある。それが2回目を迎えて、真に“全国版”と言えるような拡がりを持ち、ホール業界に新たな“動き”を作り出そうとしている。もしかしてスケールの大きなドラマが生まれるかもしれないという当初の予感は、“確信”に変わりつつある今日この頃だ。

しかし、“一筋縄”ではいかないところが、この業界の奥深さであり面白い点でもある。あるセミナーへ行ったら、パチンコの平均稼働が、調査を行なってから初めて1万5000発を切る最低値を記録したという。また別のセミナーに行ったら、昔馴染みのコンサルタントが、「顧客は何を求めてホールに来ているのか」という問いを受講者に対して発していた。そして、「もう小手先のテクニックでは何にもならない」とも言っていた。これまで業界をリードする様々な提案を行なってきた人の口から出た言葉であるだけに、その意味を重く受け止めざるを得なかった。

そもそもこの情熱リーグは、新台も買えないような中小ホールが生き残っていく方法を模索したところから生まれてきた。その結果として辿り着いたのが、スタッフの力を結集した“ホール改革”によって、現状打破を行なうという手法だった。「機械に頼らない営業」という言葉は十数年前から唱えられてすでに久しいが、ここではまさに「機械に頼れない営業」の中で、活路を見出すしか方法がなかったわけである。その“丸腰”からの出発が、返ってホールの“存在意義”を深く考える契機になったのではなかろうか。

これからは「顧客は何を求めてホールに来ているのか」という問題を、個店レベルで経営者とスタッフ全員が、もっともっと深く考えていかなければならない時代になると思う。当然そこには、各ホールが抱えた限定条件がある。新台も十分に買えないし、玉も十分に出せない。その中で顧客にホールに来た満足感をどのように与えていくのか。そうした顧客を思う気持ちを持つことが一番大切だと思う。その気持ちから釘調整や設定、店舗の演出、接客などホールを構成する様々な要素に関し、新たな発想が生まれてくる。

競合店が1円パチンコを始めて客が入っているから、ウチも導入しよう。10割分岐が増えているから、ウチも切り替えてみよう。この新台は評判がいいので、ウチでも入れてみよう。こうした発想が、“同質競争”の温床となり、最終的に中小ホールが“泣き”をみる結果になる。先の質問をもっと煎じ詰めれば、「私たちのホールに時々、来てくれるAさんは、何に魅かれてこのホールに来ているのだろう」ということではないだろうか。

そのAさんはある台を打ち、何時間ホールにいて、結局は負けて帰った。でも、3日後にまたホールに来てくれた。なぜ、また自店に来てくれたのだろうか。その理由を、正確かつ明確に把握しているホールが、結局は“強い”。自店の特徴を認識し、さらにそれを維持・成長させるツボを知っているからだ。その顧客を最もよく見ているのが、ホールスタッフだろう。私も昔、大学生の頃にパチンコホールでアルバイトをしていたので、そのことはよく分かる。情熱リーグでも、スタッフの提案は地味であるが、実はそんな提案が顧客の心を掴んでいるケースが多かった。必ずしも多くの費用を使って機種を揃え、設備を整えることが、顧客満足に結びついているとは限らない。むしろ、常連客はそんなことをするなら“もっと玉を出せ”と、反発を感じている人も多いのではないだろうか。

顧客は何も、行くたびに勝てるホールなんかあるとは思っていない。行ったときに自分が大事にされ、気持ちよく遊技できることを求めている。さらにそこに好きな台があり、勝つことができれば最高の“満足感”が得られるだろう。しかし、毎回勝たせるわけにはいかない。それではホールが潰れてしまう。負けてもそのホールに行きたくなる何かが、すなわちホールの“魅力”ということになるだろう。その部分でスタッフたちが果たす役割は、非常に大きいと思う。その点は、第1回目の情熱リーグを見ていて再認識した。

写真キャプション=第1次予選で6位に入った「DAIICHI J&Z 平野店」(大阪市平野区)


新台をエリア1番で大量導入して、色んな機種を揃えた大規模ホールで、大量の集客を行なって地域一番店を張る店舗もあるだろう。しかし、200台規模のホールで、新台は導入できなくても、年配客を中心にアットホームな雰囲気をつくって、それなりに営業を続けているホールもある。そんなホールに、大勝ちしたい客は行かないだろう。ホール側も爆裂機は間違っても導入しない。店に来てくれる年配客が喜んでくれるような機種を揃えて細々と、しかし自店の顧客の心をしっかり掴んで安定的な営業を展開している。これが今のパチンコ低迷期においては、“強いホール”と言えるではないだろうか。

そこで思い出したことがある。私は当時、東京の中野にある有名ホールでアルバイトをしていたが、自分に付いている常連客が何人もいた。テキヤ、やくざのチンピラ、弁護士、金持ちのおばあちゃん、某有名脇役俳優、銀座のママ、映画館の経営者など、いま思い返せば個性的な人たちが多かった。その人たちはホールに来ると、必ず私を探して「今日はどの台が出るのか」と聞いてきた。その問いに私は適当に答えるのだが、その人たちも自分の打つ台は決まっている。今にして思えば、そんな会話するということが大切だったのではないか思う。

それら常連客は釘に玉が引っ掛かっても、私がいることを確認してから、ランプボタンを押す。他のスタッフたちは3個くらいしかおまけ玉を入れないが、私は10個くらい流し込んでやる。これが私流の常連客に対するサービスであった。マネージャーには怒られたが、店の売上には随分と貢献したと思う。この人たちは仕事を離れた自由な会話がしたかったのであろうし、大事にされたかったのだろうと思う。当時の若き佐渡屋太郎は、3年間もそのホールにお世話になり、何とか大学を出ることができた。さらに、それら個性的な人たちとの交流で、色んな勉強もさせてもらったと思っている。

これは30年も昔の話である。当時、そのホールにはセブン機はなかったし、打ち止めが2000発であった。皆にパチンコを楽しんでもらおうというのがホールのポリシーだった。今のような“鉄火場”ではなかったし、何より人間的な交流があった。打ち止めにしても4000円の時代だった。そのパチンコホールで1980年12月8日、ジョン・レノンの銃撃のニュースも聞いた。私にとっては衝撃的な事件で、そのニュースを聞いたホールの場所も鮮明に覚えている。そんな昔のパチンコホールを飲みながら思い浮かべている。

しかし、打つ方も経営する方も、それから様々な変遷があった。では、パチンコホールとは、日本という社会の中でどのような存在なのか。ホールに来る人たちは、何を求めて玉やメダルを買うのだろうか。ないものを求められても困るし、あるものはきっちりと守り通さなければならない。今日は少々、飲みすぎているようだ。しかし、パチンコの“虚像”と“実像”を打つ人もホールを経営する人も、もう1度、考え直す必要がある。“庶民の娯楽”と言うなら、その拠って立つ論拠を示さなくてはならない。

初当たりまでに、「マックス」=2万1000円以上、「ミドル」=1万6000円~2万1000円、「ライトミドル」=8000円~1万6000円、「ライト」=3000円~8000円を要するのが、今のパチンコである。なおかつ、「1円パチンコ」でも16割分岐から10割分岐に大勢が移行しつつあるという。勝ち率もますます落ち込んでいくだろう。こうした現状のもとで、ファンがどんどん減っているわけだ。

それに対し、サラリーマンのお小遣いは平均4万5600円で、昼食込みであるという調査結果があった。昼食代の平均は590円で、月にすると590円×20日=1万1800円となり、使える金額は3万3800円。これで飲みに行ったとしたら、果たして月に何回ホールに来ることができるのだろうか。ホール組合の理事長はよく“身近で手軽な娯楽”、“庶民の娯楽”と言うが、まずその言葉を自店の顧客に発して、反応を聞いて見る必要があるだろう。自分たちが顧客からどのように思われているかということが、全然分かっていない。まさに“裸の王様”である。

さらにこの不況に入って、ホールは庶民からますます遠いものになろうとしている。パチンコ業界は遊パチや低貸などで、必死な努力をしているようだが、全体としてはファンの心を掴むところまでは達していない。さもすると、大勝ちしたいという客層に合わせた営業が頭をもたげてくる。ホールも客数が減れば、必死にならざるを得ない。

顧客は勝ちたいと思い、勝てばもっと多くの見返りが欲しくなる。これは自然な心理である。ホールも何やかやといいながら、爆裂機に支えられて“荒い営業”をしてきたわけである。他業界から見れば、その業態が異常に映る。多くの客がきて、他業界では信じられないような金を落としていく。しかし、そこに“顧客満足”や“店舗への信頼”があるのかというと、負けた客にとってはそんなものは全くない。

それではいけないと考える一部の動きもあった。具体的に言えば、負けた客も含めて“顧客満足”や“ホールの信頼度”(ブランド)をどのように作っていくかということである。一部の大手ホール企業は、まず経営者が意識を変え、その改革に協力してくれるスタッフを集めた。そして、人材教育に大きな投資を行ない、スタッフを育てたのである。その結果、業績は奇跡的に向上していった。

それを見て真似るホール企業もあった。人材教育を外注し、ホール現場ではお辞儀の角度などの厳しい教育が行なわれた。しかし、それらの企業ではついに“ホール改革”が実現できなかった。その最も大きな要因は、“経営者の意識”が変わらなかったからである。もっと言うなら、“顧客”に対する考え方が変わらなかった。その人たちが見ていたのは、売上や粗利の額であり、“顧客”の顔は見えていなかったのではなかろうか。

写真キャプション=第1次予選で10位に入った「ミカド」(大阪府枚方市)


しかし、その人たちが行ってきた新台を揃えておけば、客は金を持ってやってくるという時代は終わった。顧客の持つ資金の量も減ったし、ホールに行く回数も減ってきた。さらに、顧客も厳しくホールを選択するようになった。その選択の基準は、“ホールの信頼度”であり、そのホールで得られる“顧客満足度”である。大勝ちしたい顧客は、イベントなどの情報をもとに、ホールを渡り歩く。しかし、本当にホールを支えてくれるのは、小額ではあってもせっせと通ってくれる常連客である。そんな常連客をどれくらい持っているのか。

パチンコが低迷期に入り、いままでの“虚像”が剥がれたとき、各ホールの“実像”が次第に明らかになってきた。郊外の大型店が不振に陥り、商店街の200台クラスの店舗に顧客が集まっている例も少なくない。勝ち負けではなく、本当にパチンコが好きなファンが“信頼”できるホールは、この不況期にあっても意外な強さを発揮しているのだ。その“信頼形成”に経営者の意識と、スタッフの力が大きな役割を果たしている。私が「ぱちんこ情熱リーグ」を応援する理由もここにある。

“顧客”を大切にする経営者とスタッフの力が結集すれば、必ず顧客から“信頼”されるホールができる。負けてもまた気持ちよく来てもらえるホールを作るには、いま何をしなければならないのか。この目的に向かって、全国の299ホールが真剣に考えている。その関係者は第1回目が135店で約6000人であったので、今回の第2回目では単純計算で1万3300人となる。こんな多くの若い力が、顧客から信頼されるホールづくりに取り組んでいる。そのことを思うと、私のグラスを持つ手にも、自然と力が入ってくる。

皆様もお気付きの通り、今日の佐渡屋太郎は酩酊しており、すでに第1次予選を分析する気力と体力は消え去っている。その分析は次回に持ち越すことにしよう。今回はその予選を通過した30ホールの中で、大阪府内にある8ホールのうち4ホールの写真掲載することにした。今まで蔑(さげす)まれ、遊技機が並べてあるだけの“パチンコ屋”が、そこで働くスタッフたちの決起によって、顧客から愛される“コミュニティ”に脱皮しようとしている。求められるのは“顧客満足”と“信頼”である。それを“自主性”を武器にして実現することによって、若きスタッフは自分の仕事に、“誇り”と“自信”と“感動”を勝ち取ろうとしている。

これはホール業界にとっても、スタッフ1人ひとりの個人史においても、大きな“革命”と言えるだろう。そんな戦いの現場に、“一揆”好きの佐渡屋太郎は何としても参加したいのである。いま、敵方には1万店を超える“旧態依然”のホールとメーカーも含めた業界の“旧弊”が横たわっている。そのなかに、1万3000人を超える若き兵士たちが突き進んでいく映像が浮かんできた。やはり、今日は酔い過ぎているようで、ついに“幻想”が出てきてしまった。熱き思いをもって、今回の記事は終了とする。(佐渡屋 太郎)

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