遊技租界 『佐渡屋太郎のパチンコ商売道日記』

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2011年05月 | ARCHIVE-SELECT | 2011年07月

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「ぱちんこ情熱リーグ決勝大会」序章【佐渡屋太郎-vol.213】

写真キャプション=プレゼン前に行なわれた「よさこい」のパフォーマンス


いまは6月24日(金)の17時45分。Twitterにも書いたが、このところの無理が祟って、体調を崩してしまった。これはいけないと思い、急遽、病院に行って点滴を打ってきた。30分の点滴で何とか生き返ったが、やらなければならない仕事が山積している。ここはあせらず、1つひとつ片付けていこうと心を落ち着かせているところだ。

そのやらなければならない仕事の1つがこのブログで、これが一番手を付けやすいので、まずはこれから“突破”していくことにする。このブログも前回アップしてから、だいぶ間が空いてしまっている。実は、パチンコ雑誌に「ぱちんこ情熱リーグ決勝大会」について、8ページの原稿を書いた。それを基に、「序章」と決勝大会に出場した5ホールの説明を行ない、6本のブログ原稿に再編するというアイデアを思い付いたのだ。

写真キャプション=東日本大震災の復興支援に対し、お礼の言葉を述べる吉原純浩理事


まず今回の序章では、決勝のプレゼンの前にとても中身があり、思いがこもった挨拶があったので、それらを中心に紹介することにしたい。まず、オープニングとともに挨拶に立ったのが、同リーグの理事で福島県郡山市に本拠を置く㈱ミナミ・エンタープライズの吉原純浩氏であった。内容は、東日本大震災の復興支援に対するお礼の言葉を中心として述べられた。

この件に関して吉原氏は、「3月11日の東日本大震災によって、第2回リーグに参加した301店舗のうち、100店舗が被害を受けた。そんななかで、決勝大会の延期はまさに苦渋の決断であった。当社も福島県内で『マックスアリーナ』など3店舗の経営を行なっている。震災後、“いつ再開するのか”という決断を何回も迫られた。しかし、その答えはすべて、お客様と現場スタッフの中にあると思っている。そうした状況にあっても、よりよいホールを作っていくのが我々の使命だ。被災地では当たり前の生活に戻れない人も多い。また、私たちもたくさんの励ましの声や義援金をいただいた。そうした気持ちに応えるためにも、お客様に喜んでもらえるホール作りに邁進していきたい」と決意と感謝の言葉を述べた。

実に立派な姿勢であると思う。実は今回の決勝大会への出場チームの中にも、震災による被害を受けたホールがある。しかし、プレゼンではその件に関して、一切触れられなかった。もし、そうした説明があれば“同情票”が少なからず発生し、投票行動に影響を与えただろう。その意味で言えば、出場チームの潔い姿勢にも好感が持てた。その結果、過酷な条件の中で行なわれた決勝大会ではあったが、ホールの内容に焦点を絞った、公正な審査が行なわれたのではないかと思う。

写真キャプション=会場内の雰囲気を一気に盛り上げた躍動感溢れる「よさこい」


その後、舞台上は一転して、参加ホールのスタッフたちによる「よさこい」のパフォーマンスが繰り広げられた。色とりどりの華やかな衣装、若いエネルギーを感じさせる激しい動きに、場内の雰囲気は一気に盛り上がった。前回と比べ、だいぶ“ショーアップ”した演出が行われるようになったと驚いた。さらに、今回のテーマである「絆づくり」を、書道家の宮田天風氏が舞台上で墨書するパフォーマンスもあった。プレゼンが始まる前の緊張が高まり、観客の視線は舞台上に釘付けになった。

写真キャプション=第2回のテーマを墨書する書道家の宮田天風氏


この「よさこい」のパフォーマンスに関しては、開会挨拶を行なった同リーグ副理事長の齊藤周平氏(㈱ジョイナス)から、説明が行なわれた。それによると、「そもそもこの『よさこい』は、4人の若者の志から生まれたものだ。その志とは、“もっと高知を元気にしたい。もっと多くの人に来てもらいたい”という気持ちであった。それが『よさこい祭り』となり、50年の間に規模がどんどん大きくなり、今では100万人を集める高知を代表するイベントに成長した。また、全国に『よさこい』ネットワークが作られ、各地の地域振興に大きな役割を果たすまでになった」という。

つまりこのパフォーマンスには「よさこい」のように、「ぱちんこ情熱リーグ」を成長させていきたいという気持ちが込められていたわけだ。このリーグも、ホールの将来に危機感を抱いた大阪の若手ホール経営者10人によって、立ち上げられたものだ。今後この活動が、どのような拡がりと効果を業界にもたらしてくれるのか。その点に大きな注目が集まっている。

写真キャプション=開会の挨拶で「ぱちんこ情熱リーグ」が目指す目的を力強く語る齊藤周平副理事長


さらに、齊藤氏は業界の現状について、「いま業界には、これまでにない逆風が吹き荒れている。いつバッシングに遭うかとビクビクしているのが現状だ。しかし、我々は先輩たちが数々の偏見から、命がけで築き上げてきた業界のなかで働いている。ただ、いまだに一生を賭けてまでする仕事ではないと言われ、結婚するとき周りに反対されて転職したという例も多くある」と説明した。

その上で、このリーグの趣旨について、「しかし、毎日ワクワクして仕事ができる業界にしていくのが、我々の務めであると思っている。ホールで働いていることに、自信と誇りを持てる業界にしたい。皆の力を合わせれば、必ず業界は変わる。もっと皆が元気になれるように、もっと業界がよくなるように、我々はこの活動を続けていく」と、力強く2000人の観客に向かって宣言した。

この宣言には、大きな力がこもっていた。まさに、「ぱちんこ情熱リーグ」が目指すものすべてが、この言葉の中に含まれている。いわば、“ホールからの業界改革”の狼煙(のろし)である。結果は着々と出てきているし、その輪も大きく拡がってきた。その証拠に、今回のスペシャルコメンテイターにも、多彩な顔ぶれが集まった。参考までに列記しておこう。

写真キャプション=スペシャルコメンテイターとなったNPO法人大阪維新会の大橋正伸理事長


①加藤英則氏……PCSA・代表理事
②藤田宏氏……㈱エンタテインメントビジネス総合研究所・代表取締役
③増田伊三郎氏……一般社団法人サービスマイスター協会・代表理事
④大嶋啓介氏……㈲てっぺん・代表取締役
⑤大橋正伸氏……NPO法人大阪維新会・理事長
⑥大山峻護氏……総合格闘家

写真キャプション=観客に対して自己紹介を行なう総合格闘家の大山峻護氏


業界をまたぐ連携も誕生しそうな雰囲気だった。さらに、㈱MS&Consultingによるモニターチェックシートの説明が行なわれ、いよいよ5ホールのプレゼンが始まった。その模様については、各ホールごとにこれから5回にわたって紹介していくことにする。点滴の効果も次第に弱まってきたので、今回はこのあたりで失礼したい。(佐渡屋太郎)

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「ぱちんこ情熱リーグ」決勝大会で思ったこと【佐渡屋太郎-vol.212】

写真キャプション=取材の前に決勝大会のあった阪神尼崎駅前で開催されていた「さつき盆栽展」を見に行ってしまった


いまは11年6月6日(月)の19時47分。嵐のような月末から月初にかけての“取材ラッシュ”が終わり、久しぶりで静かな夜を迎えている。パチンコのホール組合の総会取材、月末締切りの取材と原稿書き、さらに懇親会、飲み会、懇親会、飲み会の連続だった。その間、懐かしい友人の何人かとも飲むことができたのが、最大の収穫であった。

月末にはこんな状態で原稿が書けるのだろうかと思った時期もあったが、気が付いたら期限内にすべての原稿を送っていた。多分、昔の友人と飲むために、懸命になって原稿を書いたのが勝因だったと思う。“やればできる”ことを実証したが、こんなことは1年に1回くらいしかできない。

その間、懇親会や飲み会で某大手ホール企業社長の覚醒剤使用容疑による逮捕、某組合幹部による資金の不正使用疑惑、某コードの偽造ならびに不正使用など、いろんな事件の背後情報も聞いた。相変わらず、ネタには困らない業界であることを痛感した。こんなことが業界にとっての“負のイメージ”として、一般市民に蓄積していくわけだ。そんななかで6月2日(木)、兵庫県尼崎市で開催された「第2回ぱちんこ情熱リーグ決勝大会」の取材に行ってきた。

写真キャプション=大会コンペの前に披露された「よさこい踊り」のパフォーマンス


そこでホールスタッフたちの懸命な頑張りを見ると、複雑な思いに駆られてしまった。果たしてこの業界は、若き人たちの夢や希望を叶えられる“土壌”足り得るのか。いま放射能で汚染された土壌が問題になっているが、その観点で言えば、ホール業界という土壌は“不信感”という放射能に覆われている、と私は思う。その中で汚染された表土を必死になって掻き出し、1人ひとりの力によって、“信頼回復”に立ち向かっている姿がステージ上のスタッフたちにダブってきたのだ。

昨年は第1回の決勝大会ということで、スタッフたちの心の声や個々の頑張りの姿に感動して泣けたが、今年は不思議と1回も泣けなかった。それは今回の決勝大会が当初予定されていた3月24日(木)から、東日本大震災の影響により、6月2日(木)に延期されたことも要因の1つだろう。日程的には、各都道府県のホール組合の総会取材が続く中で、この決勝大会の取材をすることになった。その結果、ホール組合の総会における相変わらずの雰囲気と、このバイタリティに溢れる決勝大会のエネルギーの落差の大きさを、身を以って感じることになった。それが、この大会の結果を“手放しで喜べない感情”と、ホール組合の現状認識の甘さに対する“怒りの感情”を生み出したのではないかと、自分では分析している。

写真キャプション=コンペ前のパフォーマンスで、場内の熱気に一気に高まっていった


つまり、ホールにおける顧客や一般社会からの“信用回復”には、個店レベルの取組みと、ホール業界全体としての取組みの2種があると思う。“個店レベル”では、こんなに頑張っている若者たちが、ホール業界にも確かにいた。では、ホール組合の幹部は、“業界レベル”での信用回復のために、いま何をしているのか。十年一日の如く、順法営業、健全営業、組合員の一致団結と唱えていれば、この危機的な状況は打開できるのか。

“孫子の代まで続く確固とした業界づくり”を唱えるホール組合のトップもいたが、そのためには“いま自分は何をしなければならないのか”を真摯に考える必要があるのではないか。残念ながら今回の総会取材で、これらホール組合では、自ら改革を行なえないことを再確認する結果となった。組合自体が変わろうとする熱意はもとより、改革のテーマが具体的な施策として上がっていないのが現状だ。こんなことで本当にいいのだろうか。私は組合員ではないが、背筋が寒くなる思いをした。

写真キャプション=出場チームとして場内に紹介された「DAIICHI J&Z 平野店」(大阪市平野区)


“個店レベル”では、自店の顧客や立地する地域社会のなかで、“信頼されるホール”になることがテーマである。そのために、ホールスタッフたちは様々なアイデアを持ち寄り、顧客や地域社会に対するアプローチを行なっている。それは、このブログでも以前に書いた第1回決勝大会に進出した各ホールの具体的な取組みを見てほしい。

しかし、“個店レベル”では払拭できない、ホール業界全体に対して持たれている“不信感”がある。それは、前回のブログでも書いた換金問題、脱税問題、依存症問題、情報公開問題、射幸性問題などである。これらはホールの顧客よりもパチンコをしない一般市民に、“不信感”が蔓延し、定着しつつある。これはホール組合が考え、取組むべき課題である。

この“根源的な不信感”を払拭しない限り、パチンコホールの社会的認知は永遠に実現できないのではなかろうかと、私は考えている。考え過ぎであってほしいが、パチンコを非難する人は、必ずこれらの点を突いてくる。それに対し、私自身もそれらの点に関しては、抗弁できないのが現状だ。

では、これらの改革が行なえるには何が必要なのか。まず、現状に対して危機感を持っている“中心人物”がいること。次に、その危機感を共有する“仲間”がいること。それが運動体となって、もっと多くの仲間を増やしていく“機動力”があること。それらを1つの勢力として纏め上げ、既存の体制を打ち破る“結束力”があること。最後に、その改革を支持してくれる多くの一般市民との“連帯”を築くことである。

その意味で言えば、この「ぱちんこ情熱リーグ」も業界における1つの“改革”である。片や、“業界を変える”ことを目的にしているマルハンというホール業界のトップ企業もある。マルハンも次回には、「ぱちんこ情熱リーグ」の参戦するということを聞いたような気がする。また、精力的に活動を展開しているホール組合の青年部会長のホールも、参戦するようだということも聞いた。これらが結びついたら、1つの大きな勢力となるのではないか。こうした“既存”でも“対抗”でもない“第3勢力”が、ホール業界の現状に疑問を持った事業者や、多くの市民の力を結集して行なうのが“革命”である。

写真キャプション=出場チームとして紹介された「パチンコ玉三郎亘理店」(宮城県亘理郡)


今日は怒りによって、だいぶ酒が進んでいる。ここからは私自身の“妄想”であることを先に断っておく。その“妄想”によれば、“ホール改革”の次には必ず“業界改革”が来る。それはいまあるホールの根源的なあり方を変えない限り、ホール自体の社会的な立脚点が確保できないからだ。では、その指針はどこにあるのか。それは、一般市民や顧客が求めるような“パチンコホール”になることである。一方、それでは営業的に成り立たないという声が聞こえる。しかし、そうした声による営業的に成立するホールが、これまでどれだけ多くのパチンコファンを殺し、逃がしてきたのか。そのことをまず認識して欲しい。

もう、そろそろ考え方を変えてもいいのではないだろうか。これまで、何回も失敗を繰り返したのに、なぜ分ろうとしないのか。それは、根本の考え方が間違っているからだ。たとえば、こんなパチンコファンの声もある。私の飲み友達のおっさんは、「パチンコ屋が変な調整をして、俺から金を巻き上げる権利がどこにあるのか」と息巻いている。それに対して私は、「パチンコ屋は玉の出ない機械を、出るように調整している」のであると説明してきた。しかし、おっさんは本当の確率で勝負をしたいと思っているし、さらにパチンコ屋に対する根強い不信感を持っている。これは実に深い意味を持っていると思う。

私自身の考えでいえば、パチンコホールは、そろそろ“パチンコ屋”に帰るべきだと思っている。社会の認識や要望もそこにある。その実像に迫りたいと思ったが、今日はだいぶ書き過ぎている。決勝大会後、一緒に飲んだ昔の仲間に言わせると、このブログは記事が永いから、誰も読まないそうだ。そういえば、読む人のことを考えて書いたことはあまりない。自分の考えを整理することと、そのとき起きたことを忘れないようにするための備忘録として、このブログを書いている。お陰で、自分が思ってきたことが、だんだん明確になってきた。

写真キャプション=見事、「パチンコホール日本一」の栄冠に輝いた「JOY STAGE」(愛媛県)のプレゼン


今回の妄想も、実は究極の結論に至るはずだった。しかし、今日は飲み過ぎて、これ以上のことを書く元気がなくなっている。パチンコホールはとても面白く、奥深い存在であるとつくづく思う。そして多くの人を、あるときは救い、あるときは奈落の底に落としてきた。存在は必要だが、その存在に運用する側が負けている。これが私の正直な感想である。だから、パチンコホールの存在意義について原点に立ち返って考えたら、今のパチンコホールがいかに、“歪んだ存在”になっているかが見えてくる。パチンコファンを喜ばせるために、パチンコホールはある。それでなかったら、存在する意義はない。そこにあるのは、ホール経営者の“エゴ”以外の何ものでもない。

さらに、パチンコファンを喜ばせられなくなった原因を本気になって考え、変えていこうとする人が実に少ない。皆が他人事のようなことを言っている。その結果、本当は分かっていないのではないかと、ここ数年で思い知らされた。ホールや業界を変えるためには、大きな犠牲を覚悟しなければならない。だから、実行に移せないわけだ。つまり、結局は自分のことしか考えていないのである。言葉では誰もが言うが、本当にそのことを自分の問題として危機感を持ち、打開の具体的な方法を頭に描ける人は、一体このホール業界に何人いるのだろうか。これは実際に苦労して現場を変えてきた人でないと、その必要性と顧客の気持ちは分らない。その数少ない改革の“中心人物”を酔った頭で描いているが、それら行動力のある若手に期待したい。

ぱちんこ情熱リーグ」の決勝大会の件については、次回にきっちりとした形で書きたいと思う。今は業界全体に対する思いが複雑に絡み合って、書く気がしない。ただ、今回の記事に入れる写真がないので、次回の前フリとして決勝大会の写真を入れておくことにする。(佐渡屋太郎)

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“パチンコバッシング”の根源にあるもの【佐渡屋太郎-vol.211】

写真キャプション=バラを求めて中の島公園に集まってきた人々


いまは11年5月25日(水)の16時40分。先週末からホール組合の総会取材が続いている。明日もその取材があるのだが、今日は1日だけ空きができたので、久しぶりで事務所に出てきた。カバンの中に詰まった重い総会資料を置きにきたのが、第一の目的であった。ついでに、時間があったので、取材中に教えてもらった石原都知事の発言を批判した某業界誌の記事も読んでみた。

さらに先日、電話を掛けてきた京都のホール業者であると思うが、私の関わっているパチンコ業界誌の記事と、石原都知事発言を批判した記事を比較して、「貴誌の視点のどこに問題があるか!」というFAXも机の上に置いてあった。自分の名も名乗らず、送信してきたFAX番号も消しての通知であった。かなり、しつこい人である。私は前に掛かってきた電話のときに、「節電署名をしている多くの人は、パチンコをしない一般の人だ」と言ったはずだ。それに対して、「石原の背後を探れ」と何回も言ってきた。そんな背後は知っている。そんな視点で書いた記事ではない。

それをここで説明すると、事実として震災前からパチンコバッシングの動きが活発化し、震災後は“節電”という新たなバッシングテーマが生まれてきた。では、このバッシングの“根源”には一体、何があるのか。それが京都のホール業者の言うところの“貴誌の視点”である。いま、そのことを考えることが非常に重要だと思うから、それら運動体の主張することを興味深く観察しているわけだ。いろんな視点を持ちながら、それぞれの記者は記事を書いているはずだ。

写真キャプション=官能的な色気さえ感じさせるバラの大輪


私はこうした外部的な刺激によって、業界がその根源的な問題の解決に向かうことを願って、記事を書いた。それだけのことだ。それら勢力は的外れの指摘も多いが、いいところを突いてきている点もいくつかある。その“キツイ指摘”に、業界はどのような反論をするのであろうかという興味があったのだ。

もっと言えば、この国では弱いものに味方する国民的な心情がある。一生懸命に頑張っているが、強いものの圧力によって虐(しいた)げられているという状況に対して、世論は“弱者”の応援につく。ホール経営者たちの多くは、自分のことを“弱者”であると思っているはずだ。行政からの圧力も日常的に受けているし、競合相手との戦いに勝たないと明日の命もない不安な毎日を送っている。だから京都のホール業者も、業界誌が自分たちを守ってくれる存在になってくれることを願ったのではないかと思う。では、なぜその“弱者”に、世論は味方してくれないのだろうか。

一方、「中小企業等協同組合法」を元に結成された各都道府県のホール組合、さらにその全国組織である全日遊連は、傘下に1万2000店舗を抱え、約30万人の従業員を雇用する巨大団体である。そこに組合員であるホール事業者と、一般市民による“社会の目”との間で、大きな齟齬(そご)を生む結果を作り出す要因があるのではないかと思う。

写真キャプション=自然が創り出した造形の美をしみじみと堪能させてもらった


つまり、ホール事業者の多くは、自らを中小企業経営者であると思っている。しかし、“社会の目”はホール業界の売上(実は貸玉料金の総計)が最盛期で30兆円、いまは21兆円を超える“巨大産業”であると思っている。したがって、換金問題をはじめとした法的な整備をはじめ、今回の節電要請に対しても、それなりの社会的な対応をするのが当然だと考えている。その当然の対応が十分に徹底されていないことに対し、反発心を覚えるという構図だ。さらにホール自体の過激な体質も、パチンコをしない人たちが眉(まゆ)を顰(ひそ)める原因となっている。

全日遊連の実態を言えば、1店舗を経営する小ホール企業も県内に30店舗を擁する地元大手ホール企業も同じ組合員である。しかし、それらホール企業は、同じ21兆円産業を構成する一員と見られている。その結果、一般の人たちはトヨタ並みの“社会性”を、ホール業界に求めてくるわけだ。それに対して、ホール業界は自分たちが本来、中小企業の“弱者”であるのに、いきなり“強者”に転じたという自覚や意識が希薄だ。それが社会との軋轢を生んで、ホール業界が“悪者”になる構図を創り出している。

つまり、本来は“弱者”であったパチンコ屋が、社会的な需要や機械的なヒットを受けながら、“陰の存在”から“表舞台”に躍り出てきたわけだ。しかし、その間に業界としての“意識改革”や“組織的な変革”は私の見る限り、一部の大手ホール企業を除いてほとんどなかった。主張するときは“30万人の雇用”と言いながら、換金問題、脱税問題、依存症問題など、社会が求める要請に対してどれだけの成果を示せたのだろうか。

写真キャプション=昔、佐渡屋太郎は泥酔してこのライオンに跨ったことがあることを思い出した


本来なら、そうした努力と実績が、ホール業界の“信頼性”として帰結するはずだった。その意味で言えば、今の信頼性の低下は、当然の成り行きであるとも言える。その結果、業界の“社会性の欠如”が、一般市民の間で、固定観念として定着しつつあるのだ。つまり、売上は大きな業界なのに、社会的な常識を持たない、アナーキーな業種であるという認識である。その不信感が、不景気や今回の震災などの危機的な状況に直面すると、市民感情として一気に噴出してくるわけだ。

では、仮に石原都知事が自らの発言を撤回し、ホール業界に対して謝罪をしたら、パチンコをしない人たちの業界に対する考えは変わるのだろうか。身に降り掛かってくる“火の粉”は払わなければならないが、業界に対する不信感は、もっと根深いものであると思う。その不信感の源泉を、見極める必要があるのではないだろうかというのが、私の提案である。前回のブログでも書いたが、業界内でウジャウジャ言っているのではなく、Webなど一般の人たちの目の届くところに、その不信感を払拭するような情報を積極的に発信していく必要がある。さらに、その不信感を取り除くような“業界改革”が何より必要だ。

写真キャプション=バラ園はデートコースとして非常に適していると思う。その理由はバラの花は実に官能的な美しさを持っているからだ


そこであることを思いついた。いまから13年前の1998年、パチンコ雑誌で「パチンコ業界が解決しなければならない11の課題」という連載を、1年に亘って続けたことがある。そのテーマは、①廃棄台処理問題、②社会貢献問題、③換金問題、④脱税問題、⑤事故対策問題、⑥パチンコ依存症問題、⑦情報公開問題、⑧暴力団排除問題、⑨カード問題、⑩ゴト対策問題、⑪射幸性問題、⑫総括となっていた。今となっては懐かしい課題もあるが、逆に13年経っても依然として持ち越してきた課題も少なくない。

具体的に言えば、積み残してきた課題は、③換金問題、④脱税問題、⑤パチンコ依存症問題、⑦情報公開問題、⑪射幸性問題であろう。それらが複雑に絡み合って、業界に対する不信感を醸成している。まさに、“パチンコバッシング”を行なう運動体の指摘も、これらを俎上に上げている。しかし、これらの問題はかなり根深い問題である。だから、13年と言わず、その前から延々と業界が抱え込んできたテーマでもあった。したがって、これらの問題を解決するには、相当な意識改革と業界自体の構造改革が必要だ。その“大手術”は、もしかしたら業界自体を死に至らせる可能性もある。

しかしここ数年の状況を見ると、外部的なプレッシャーがその“大手術”を迫っているように思える現象が多くなった。一方、業界自体にはその自覚は希薄である。したがって自らは決して“手術台”に上ろうとしない。自分の体の調子が悪くなったのは、不景気やいい機械がでなかったからだと思っている。だから、景気が良くなり、いい機械が出てきてくれれば、また元のような客であふれるホールが戻ってくるはずだと考えているのではないだろうか。

写真キャプション=いまから開こうとする花弁に清純さとこの上ない色気を感じる


その一方で、“社会的な監視”の目は日々に厳しくなっている。たとえば、物販の業界では、その会社のポリシーに共感した人たちが、その会社の商品を買う。逆にそれら会社は、いままでの社会や業界のあり方に反旗を翻し、本音で消費者と向き合い、対話を行なうことによって成功している。一方、嘘をついている会社は、消費者の口コミネットワークで、どんどん潰れているのが現状だ。売り手と買い手の間で、“タブー”があるのは、信頼感の醸成に大きな障害となる。私の元にも、業界人だけでなく、パチンコファンからも業界やホールに関する情報が入ってくる。ほとんどが“苦情”である。その上で私自身は、この業界に対する危機感を日ごとに深めている。

しかし、意識が高まらないと、“改革”は起こらない。その根源的な状況変化に気付いている少数のホール経営者は確かにいる。しかし、業界全体としては実に“感度”が鈍い。さらに、業界全体を変えていこうとする中心人物の姿が、まだ見えてこない。まだまだ先の道は永いようだ。もっと言えば、この業界は自らの意志によって、“改革”を行なうことが果たしてできるのであろうかという思いも強くなった。もし、この業界が動くとしたら、正直に言って相当な外部的なショックを受けるか、行政による抜本的な構造改変しかないと思わざるを得ないような状況である。気持ちは暗くなるが、それも仕方ない。悔しいが、現実はありのままに受け入れなくてはならない。

写真キャプション=休日にバラを楽しみに来た多くの人々


そんな中、ホール組合の総会では、いくつかの内部抗争を見てヘキエキしたが、それはいまの政治も変わらない。そんなことをしている状況ではないだろう。しかし、青年部会の若手リーダーの言葉や、ある県の総会宣言にやや明るい兆しを感じるものがあった。次回は、そんなことでもネタにしようと思っているところだ。連日の総会取材と月末締切り原稿の取材で、ドッと疲れている。今回は内容に合う写真がないので、5月21日(土)に行った「中の島バラ園」の写真を入れて、気分を明るくしたいと思う。(佐渡屋太郎)

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