遊技租界 『佐渡屋太郎のパチンコ商売道日記』

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PTBの第2回監視結果が発表される(2)【佐渡屋太郎-vol.94】

写真キャプション=第2回目の監視調査の概要について説明するPTB監視委員会の横山和夫委員長 いまは5月23日(金)の20時10分。昨日からの、大阪の“暑さ”は一体どうしたのか。今週は月曜から東京に行っていて、昨日やっと大阪に帰ってきた。東京もそこそこ“暑かった”が、大阪に帰ってきてこの“暑さ”が尋常でないことを確信した。いま、事務所は入口もベランダのドアも開け放ってあるが、それでも気温は27度もある。いつもなら風が通るのだが、今日はウンともスンとも言わない。もう冷房を入れないと、気が狂ってしまいそうなくらい“暑い”。

 東京へは、パチンコ業界の記者会見や組合の総会のために行っていた。相変わらずドンヨリした空気が流れ、閉塞感に包まれたパチンコ業界であった。ただ、総会後の懇親会で、何人かと久し振りで会ったことだけが嬉しかった。早速、近日中に大阪で飲む約束をしてしまった。さらに、2日目の夜は葬儀雑誌でお世話になっている編集部の面々と飲み、3日目の夜はパチンコ関係の旧友たちと飲んだ。

 その葬儀雑誌の編集長とは若い頃、互いに同じような経験をしていたことが分かり、1度じっくり飲もうと約束していた。その約束がやっと実現できたのだ。それが今回の東京行きにおける唯一の収穫かもしれない。実は、編集長のT氏と私は昔、ライバル会社に勤めていた。その会社とは当時、隆盛を極めていたR社が発行する情報誌の記事制作を中心に行なう編集プロダクションであった。T氏が勤めるC社を独立した人物が作ったのが、私が勤めていたK社だった。両社はともに丸の内線の「新中野」にあった。

 私より1歳上のT氏は新卒でそのC社に入り、3年ほど勤めて退社した。私も大学をでたあと、無理やりK社に入れられ、3年間がまんしたら一人前にしてやると言われたのに、2年9ヵ月で辞めてしまった。その後T氏は、日本に拠点を置きながら、何回もフィリピンに通ったという。私は会社を辞めるその当日まで徹夜で原稿を書き、徹夜明けで成田に行ってバンコク行きの飛行機の乗り、インドを目指した。

 そのプロダクションにいた頃は、互いに面識はない。しかし、他にもR社関係のプロダクションはあったが、この2社のライバル意識は強かったように思う。よく社内でもC社の名前は出ていた。互いに何本もの企画書を提出し、何誌も出ている情報誌の特集、サブ特集、4ページ物、連載ページなどの“誌面争奪戦”を演じていたものだ。その情報誌のほとんどが週刊誌であったため、連日のように会社に泊まりこみ、朝は総務のおねえさんに起こしてもらっていた。多分、T氏も同じような生活を新中野でしていたことだろう。あの頃の鍋屋横丁や「中野新橋、転がり芸者」とも謳われた中野新橋の飲み屋街、締切りが終わるとタクシーで駆けつけていた新宿2丁目の飲み屋やゴールデン街が思い出される。

 いまは3年などあっという間に過ぎてしまうが、あのころの3年は実に内容が濃かったように思われる。いろんな場面が、昨日のことのように思い出される。よくあれだけのことが、3年でできたものだと感心してしまう。まさにあの頃が、T氏にとっても私にとっても “原点”である。あの頃の生活や経験があったから、いまの自分たちがあるのだろう。その後、2人は様々な変遷を経て、葬儀雑誌で遭遇したといわけだ。これも何かの縁であろう。その日は実に美味い酒を飲んだ。

 というわけで、また前フリが長なってしまったが、PTBの続きである。これが途中であったために、東京に行っても何か落ち着かなかった。今回はキッチリとけりをつけようと思う。前回は他業界における一流企業などの「コンプライアンス」(企業倫理、法令遵守の徹底)や「コーポレートガバナンス」(経営の公正さと透明性の確保)の監査を行なっている専門家が、このホール企業の監査や調査に当たっていることを紹介した。

写真キャプション=第2回目の監視調査を始めるまえに開かれたPTBの記者会見

 では、具体的にどのような点のチェックを行なっているのか。また、1回目の監視調査によってホール企業の実態や結果から、2回目はそのチェック項目数(125項目→110項目)やチェック内容も変化している。まず、そのチェック分野の概要と1回目から2回目のチェック項目数の変化を見ていこう。

【監視調査分野の概要と調査項目数の変化】
① ガバナンス(17項目→14項目)=経営の意思決定機関および当該機関に対するチェック機能などの仕組み
② 基本姿勢(10項目→7項目)=社会的責任を果たす上での企業(経営者)の基本的な姿勢。
③ フレーム(19項目→17項目)=適切なコンプライアンス経営を行なう上での基礎となる態勢
④ 財務プロセス(16項目→13項目)=個別法令やリスクに関する手続き(財務に関連する諸手続き)
⑤ 反社会(7項目→7項目)=個別法令やリスクに関する手続き(反社会勢力に対する基本的な姿勢および対応)
⑥ 社会的要請(13項目→12項目)=個別法令やリスクに関する手続き(社会からの要請への対応)
⑦ その他法令(8項目→7項目)=個別法令やリスクに関する手続き(風適法および業界関連諸規制への対応
⑧ 風適法(6項目→6項目)=個別法令やリスクに関する手続き(風適法および業界関連諸規制への対応)
⑨ 労働法(24項目→22項目)=個別法令やリスクに関する手続き(労働関連法令への対応)
⑩ 内部監査(5項目→5項目)=経営活動の遂行状況を公正かつ客観的な立場から監査する仕組み

 以上が、監査調査を行なう分野と各チェック項目数である。各項目の監査調査が行なわれ、その総合評価として分野ごとの格付けが行なわれる。今回はその格付けが発表されたわけであるが、そのまえに各符号の基準となる定義を知らなければならない。全部で8段階の格付け記号があるので、その定義を列記していく。

写真キャプション=第2回目の監視調査項目の変更内容を示した一覧表

【格付け符号とその定義】
① AAA=AAに加えて、周囲の環境変化をダイナミックに反映し、常に改善を図った結果、他社の規範となるべきレベルに達している。
② AA=経営層の指示と承認のもとに方針やルールを定め、全社的に周知・実践しており、かつ責任者による状況の定期的確認を行なっている。
③ A=経営層の承認のもとに方針やルールを定め、全社的に周知を行なっている。
④ BB=経営層に経営管理に対する意識があり、方針やルールの整備、周知を図りつつある。
⑤ B=経営層に経営管理に対する意識があり、形式的な要件を充足しようとしている。
⑥ C=経営管理を行いたいという経営者の意識がみえる。
⑦ D=経営管理について、経営層における意識もなく、ほとんど取り組みを行なっていない。
⑧ -=評価不能。評価不適格/評価できない。※監視忌避があった場合はには、即刻「-」とする。

 では、2回目の監視調査の結果は、どのようになったのであろうか。リリースが送られてきたのはマルハンだけだった。そこで先週、PTBの社員となっている他の6社のホームページを調べてみたら、監視結果を公表していたのはダイナム、ニラク、正栄プロジェクの3社で、他の3社では発見できなかった。せっかく調査を受けたのだから、その結果は積極的に公表すればいいのにと思うが、このあたりに各社の企業体質が出ていて面白い。それでは、結果を1回目→2回目と比較しながら紹介することにしよう。

PTB監視調査結果の1回目と2回目の比較】(△はアップ、-は前回と同じ、▼ダウンを表わす)
     

 

     

ダイナム

ニラク

正栄

プロジェクト  

 マルハン    

ガバナンス

 A→AA(△) 

A→A(-)

 AA→A(▼)   

BB→B(▼)   

基本姿勢

A→A(-)

 A→A(-)

 A→A(-)

BB→B(▼)

フレーム   

A→A(-)

A→A(-)

 A→A(-) 

A→A(-)

 財務プロセス 

A→A(-)

AA→A(▼) 

A→AA(△)   

A→A(-)

 反社会

AA→A(▼) 

A→AA(△) 

A→AA(△) 

A→A(-)

 社会的要請

AA→AA(-)

A→AA(△) 

A→AA(△)   

BB→A(△)

 その他法令

A→A(-)

A→A(-)

A→B(▼)   

BB→A(△)

風適法

A→AA(△) 

A→AA(△)

A→AA(△)   

A→A(-)

労働法

A→AA(△) 

BB→A(△) 

BB→A(△)   

B→BB(△)

 内部監査

A→AA(△) 

BB→BB(-)

AA→AA(-)

BB→A(△)

2回目集計     

 

ダイナム

ニラク

正栄プロジェクト

マルハン

 AA

2→5

 1→3  

2→5 

0→0

A 

8→5

7→6

7→4

4→7

BB

0→0

2→1

1→0

5→1

B

0→0

0

0→1

1→2

(△)

4 

4

5

4

(-)

5

5

3

4

(▼)

1

2

2

       
 これが1回目と比較した2回目の結果である。全体的に見れば、前回に比べて4~5分野において評価がアップしている。これは大きな前進と言えるだろう。ホール業界のリーディング企業において、他業界に決して引けを取らない “組織改革”に取り組んでことは、大いにアピールすべきである。監視委員の先生方も当初の予想とことなり、業界改革や組織改革に取り組む若手社員の真摯な姿に、大きな感銘を覚えたほどだ。

 評価のレベルにおいては、ダイナム、ニラク、正栄プロジェクトの3社は、AランクからAAランクへの移項が起こっているようだ。これは社内で定めた方針やルールが全社的に周知されるだけでなく、すでに実践され、責任者による定期的な確認まで行なわれている段階に当たる。一方、マルハンではBBランクからAランクへの移行期にある。これは方針やルールの整備から、全社的に周知を行なっている段階に当たる。ただ、「ガバナンス」と「基本姿勢」が、BBからBにダウンしている点が気に懸かる

いずれにしても、こうしたトップ企業群の真摯な取り組みを見るにつけ、ホール企業間における“企業格差”がますます拡がっている現状を思わずにはいられない。ホール組合の総会で業界の現状を憂い、“一致団結”の声を十年一日のように掛け合うのも結構だが、そのまえに自分の企業、自社の社員、自社の営業やサービスなど、まず自らの足元を見つめた改革が必要だと痛感する昨今だ。変わる企業はどんどんと変わっていき、全く別のステージに行きつつあることを、今回の監視調査結果でまた思い知らされた。(佐渡屋太郎)
 
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| 佐渡屋太郎の徒然日誌 | 13:21 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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PTBの第2回監視結果が発表される【佐渡屋太郎-vol.93】

写真キャプション=故・前先生が亡くなった4月5日(土)14時30分に大阪で咲き乱れる桜

 いまは5月18日(日)の17時35分。昨日は京都の東急ホテルで、歌人で芸術院会員でもあった故・前登志夫氏のお別れ会があり、取材に行ってきた。生涯にわたり奈良・吉野にこもって、自然に根ざしたスケールの大きな歌を生み続けた“巨人”であり、偉大な“山人”でもあった。吉野の人だけあって、作品には桜の歌が多かったという。その前先生に捧げるため、今回は桜の写真を掲載することにした。

 私は今年、やけに吉野の桜を見たいという衝動に駆られたが、どこかで呼ばれていたのかもしれない。酒好きで桜好き、その酒も中途半端ではなく、徹底的に飲んだそうだ。入院しても、吉野の生家に戻ることを強く主張し、最後は吉野の山に抱かれるようにして逝った。4月5日(土)14時30分のことだ。享年は82歳で、死因は肝硬変であった。

 その病床で書いた「NHK短歌」4月号掲載のエッセイがある。タイトルもそのまま「病床の記」で、その文章の最後は次のような一文で締めくくられている。「静かな個室へ移された日、わたしは妊婦のように腹水がたまって、ベッドの上でも身動きがままならなくなった。その中に鮠(ハヤ)が泳いでいるのではないか」――つい笑ってしまうような、生も死も突き抜けた豪胆な“山人”の想像力を感じさせる。

写真キャプション=大阪の淀川沿いで“生”の饗宴を繰り広げる若者たち

 というわけで、私は今週の東京出張のために、せっせとストック原稿を書かなければならない。しかし、故・前登志夫先生のことを書いていたら、急に酒を飲みたくなった。今日は亡き先生に成り代わり、佐渡屋太郎がこの世で酒を飲んで、あの世の先生にこの陶酔を伝えることにしよう。さて、今回のテーマはPTBの監査結果の発表についてである。酒を飲みながら、こんなややこしい原稿が果たして書けるのだろうか。

 まずPTBは正式には、「有限責任中間法人パチンコ・トラスティ・ボード」という。これは2005年2月、弁護士、公認会計士、大学教授、有識者などで設立された第三者監視機関である。設立の目的は、パチンコホール企業の社会的地位の向上を目指し、社員企業に対して厳しい監視調査活動を行なっていくことにある。その一環として毎年、希望するホール企業に対し、監視調査を行なっている。今回は、その2回目の監視調査の結果が出て、発表されたというわけだ。

 PTBの社員企業は、㈱ダイナム、夢コーポレーション㈱、㈱ニラク、㈱TRY&TRUST、ピーアークホールディングス㈱、㈱正栄プロジェクト、㈱マルハンの7社。一方、監視委員会は、【委員長】横山和夫(東京理科大学教授・公認会計士)、【副委員長】深澤直之(弁護士・右田・深澤法律事務所)、高巖(麗澤大学国際経済学部教授)、【委員】堀裕(弁護士・堀総合法律事務所)、木下潮音(弁護士・第一芙蓉法律事務所)、國廣正(弁護士・国広総合法律事務所)、近江正幸(日本工業大学大学院技術経営研究科教授)、大久保和孝(公認会計士・新日本監査法人社員)の各氏で構成されている。

。写真キャプション=吉野の静寂と異なり、焼肉の匂いが立ち込める大阪の“花見の宴”

 つまり、パチンコホール企業も他業界の一流企業と同等の厳しい監査を受け、継続的に欠点を是正していくことで、上場企業並みのレベルアップを図るが第1の目的だ。さらに第2目的は、他業界の監査も行なっているメンバーによる評価を公表することで、ホール企業の進化した現状をアピールし、社会的な評価の向上を図ることにある。しかし、PTB設立の背景には、株式上場ができないホール企業の、永年にわたる“紆余曲折”があったのである。

 遊技機メーカーや設備メーカー、さらにホールサービス提供会社のなかで株式上場を果す企業が出てくるなか、ホール企業が上場はいまだに果されていない。ただし、上場企業がパチンコホールを経営している例はある。それは売上1兆円を突破し、2兆円を目指して邁進しているマルハンでも同様である。上場したくても、上場させてもらえないのだ。その主な要因は、永年の慣例として行われている “換金行為”が グレーゾーンとなっているからだ。

写真キャプション=“花見の宴”が終わり、やっと詩情を漂わせる淀川の夕暮れ

 正確に言うと、パチンコホールでは換金はしていない。ホールでは顧客に対し、出玉に応じた“特殊景品”を提供しているだけだ。それを受け取った顧客が、自らの判断で景品買取り業者(買い場)に“特殊景品”を売り、その対価となる現金を受け取っているという構造になっている。これがいわゆる“3店方式”である。換金問題は話し始めると、キリがなくなるのでここまでにする。このグレーゾーンの換金問題をいかにクリアにしていくかも、PTBの大きなテーマの1つではある。

 日本最高の法律・会計などの専門家集団が、パチンコ業界における永遠のテーマである“換金問題”について考えてくれているのである。しかし、いまだに解決はしていない。この問題の前には、いくつもの壁があり、ドロドロとした権益の世界も横たわっている。さらに、時機の問題もある。不正事件があり、行き過ぎた射幸性で遊技機の状況が大きく変化し、いまは株価も暴落している。しかし、上場の“夢”を叶えるための日々の努力は必要だろう。それが、まさにこの監査なのである

 私は個人的に、“上場は忘れた頃にやってくる”のではないかと思っている。某ホール企業のトップは、毎年のように「来年こそは株式公開を実現したい」と社員の前で語っていた。それを10年以上も聞き続けると、まるで“オオカミ少年”ではないかと思ってしまう。その言葉が何とも空しく感じられてくるのだ。しかしここ2~3年、そのトップは“株式公開”という言葉を口にしなくなった。それに代わる新たな目標が発見できたからである。これはいい傾向だと思う。

 “ホール企業の上場”は1社やトップ企業群が望んで、果たして実現できることなのだろうか。業界全体を見渡し、全体的な変化を確認し、そこで初めて大きな力が動く。つまり、もっと大きな枠組みの中で決まっていくような気がする。いま、ホール企業は上場から遠くなってしまった。しかしその中にあって、地道に社内システムの整備や組織改革を坦々と進めていくことで、逆にその企業姿勢が世人に評価されることにつながるのではないかとも思う。

 そして、上場に足る企業であるかどうかといったレベルを突き抜けたところで、「何をいまさら」と言いながら、当然のように証券取引所の鐘を鳴らすのかもしれない。上場している新興企業が相次いで、不祥事や乱脈経営、さらに最も肝心な企業姿勢で世間の信用を失っている昨今、ホール企業の拠って立つ基盤の危うさを打ち消す、堂々とした“存在意義”の御旗を打ち立ててもらいたいものだ

 と言いながら、酒が体中を回って、頭のなかにいまだ見たことがない“吉野の桜”がちらついてきた。これは危険な兆候である。この陶酔感だけあの世の故・前登志夫先生に伝えて、佐渡屋太郎はさっさと京都へ退散することにしよう。肝心の監査結果は、次回に発表することにする。(佐渡屋太郎

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